アオキガハラ

1999年(平成10年)9月初版発行

撮影 阿部ちひろ

文 道満三郎

出版社 KSS出版

定価 3800円(税別)

 

★感想★
非常に素晴らしい写真集。
 青木ヶ原樹海の真実を伝えるために、全体を通じて悲しい雰囲気の写真
ばかり収録されています。
カバーの写真は十字架に見立てた樹海内の看板ですし、本文中にも
遺留品や人骨やグロテスクな自殺遺体の写真が殆ど修正されていない
状態で収録されています。良くもここまで悲しい写真を撮り貯めたものだと
感心しました。その行動力に敬意を表します。
またあとがきは阿部氏の言葉で締め括られているのですが、この文章が
この写真集の特質を非常に良く表していますので、以下一部引用します。

----樹海は遠くにあって美しいものではない。自殺や死を
近くに感じてほしい。樹海に入って一度も美しいとは思わなかった。
ただもやもやしたまま鼓動だけが早く打つ感覚を思いださせるだけだ。----

 僕は最初、このあとがきを読んで、あそこまで綺麗な写真を撮っているのに
それはないでしょう、と思いました。
しかし後でよく考えてみると、この阿部氏の後書きも、率直な感想なんだと
という事に気づきました。
樹海を散策しているとき、偶然目に飛び込んでくる自殺遺体。
そのおぞましい姿は、暫く頭から離れないでしょう。
私も、もし誰からか「樹海は美しい場所なのか?」と聞かれたら、
美しい場所だとは即答できないと思います。
このあとがきには、青木ヶ原樹海の持つ恐ろしい一面を目の当たりにし、
その悲しい真実を知った写真家の思いが込められていると思います。

青木ヶ原樹海に興味のある方は是非、一読下さい。

 

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