からくり民主主義

2002年(平成13年)6月初版発行

著者 高橋秀美

出版社 草思社

定価 1800円(税別)

 

★感想★ 
 第9章に「ぶらさがり天国」と題して約20頁に渡り青木ヶ原樹海が紹介
されています。別冊宝島「自殺したい人びと」(1999年6月発行)に収録
されたものを加筆修正したものだそうです。
 他に紹介した書籍とは全く異なった視点になっており、地元民などへの
地道な取材活動を通じて、青木ヶ原樹海の意外な一面を発掘した素晴らしい
内容になっていると思います。
一般的に青木ヶ原樹海は自殺の名所として語られる事が多くマイナスイメージ
が常につきまといます。しかし本書は影ばかりが注目されるのではなく、
その反対側には光の部分(見世物的な)もあるのだよと教えてくれています。
ここら辺の詳しい内容は是非、本書をお読み下さい。

 著者は樹海での自殺を悪いとも良いとも断言していません。
しかしこの文章自体が自殺防止を呼びかける啓蒙書の様な内容になっていると
思います。樹海での自殺遺体や自殺志願者達の様子を、地元の人々の視点から
おもしろおかしく読者に伝えているところをみると、見世物になりたくないのならば、
樹海で自殺するなと言っているような気がしました。

 文章の最後に著者は生きている者に、自殺した者の気持ちは永遠に分からない。
この世に残るのは「自殺された」事実だけだと述べています。
「自殺された」事実によって、生きている者は右往左往し、どうすれば自殺されず
に済んだのかという事をあれこれ考えます。しかし対策をにいかに練ろうとも、
自殺した者の気持ちが絶対に分からない以上、その答えは永遠に出ないと
いうのです。しかし私は分からないけど、色々対策を試してみましょうと言いたい
のです。樹海での自殺防止の方策はまだまだ残されていると思います。

本書には一部ですが、私が調べた情報や、経験して知り得た感覚と違う
部分があり、本当なのかと疑いたくなるような部分もありましたが、全体として
非常におもしろい内容だと思います。一般的には語られない青木ヶ原樹海に
ついて知りたい方には本書をお勧めします。

 

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